2015年11月26日木曜日

ふるさと

現在、老人ホームに月一回ボランティア訪問しております。

当初は「よみきかせ」の会を想定しておりましたが、お耳が遠い方がいらっしゃいます。
絵本をお見せしても、少し離れていては、見るのも億劫でしょう。

それでもう「お聴かせする」というスタンスは思い切ってやめちゃいました。




みんなで語ったり、歌ったり、ワイワイ騒ぐ時間になっています(笑)

お耳のそばで「これを声に出して読んでみてください」と、唱歌「ふるさと」の歌詞をよんでくださるようお願いしました。






90代のお姉さまが、最初はお恥ずかしそうでしたが、すぐに気を取り直し、まるで私に語りかけるように読んでくださいました。
テクニックなど関係ありませんね。

「本当」があるんです。

味わい深く読んでくださり、じーんと来ていると
お姉さまの方でも

「この詩は田舎の愛媛を思い出すの。またこの二番がたまらないの。父も母ももういないわ。何も親孝行しなかったの」

と、ちょっと涙ぐんでらして、またじーん。











けれども、爽やかな涙から、すっと明るくなり

「そうだ!先生!”上を向いて歩こう”を歌って!」

と、まさかのリクエスト!

”上を向いて歩こう”

みんなで大合唱しました。
50歳のわたしと、80代の方と90代の方、共通に懐かしい曲なんですね。
世代を超えた名曲は、生まれ故郷は違っても、みんなが帰れる心のふるさとです。


切なくて、あったかいひとときでした。
来月も楽しみです!

あなたもご一緒に...いかがですか?

2015年11月19日木曜日

親睦会つきグループレッスンの日程について

皆さま

お元気ですか?

色づいた落ち葉がきれいで、何とも切ない風景ですね。

私はこの季節が好きなような、なんだか苦手なような。



さて、掲題の件につきまして、一部の方にメール送信しておりますが、私からのメールが文字化けで見られない、という不具合が時折起きています。
メールを受信された方には重複する内容ですが、念の為ブログ掲載します。


先日の当方からのメールでは、

5日(土)
19日(土)

の中から選んでいただくようにお願いしましたが、ご要望が分かれましたので
両日行うことに致します。


親睦会つきグループレッスンの日程

◎1回目   5日(土)14:00〜

◎2回目  19日(土)14:00〜


▽朗読グループレッスン120分 + 親睦会

◎参加費用=3500円(食事・飲み物・デザート付き)

◎場所=自宅朗読教室



今のところ、5日(土)の方が参加者が少ない状況です。
参加ご希望は、できれば11月末日ころまでに、ご連絡くださいませ。


※尚、予定していた12月21日(月)のグループレッスンは中止します。
 何卒ご了承ください。

皆さん、当日はお腹を空かして来てくださいね!
私が腕によりをふるってこしらえた、インドカレーをご賞味いただきますよ!

お目にかかれるのを楽しみにしています。






趣味ぶろ 朗読教室ブログランキング




2015年11月13日金曜日

笑顔で話す

初対面の人に好感を持つポイントって何でしょうか。

顔?服装?持ち物?

たしかに、意識上では外見を見てかなりの部分を判断しているつもりかもしれませんが

無意識に相手に親しみを感じるかどうかは

「声」または「話し方」

なのでは?と私は思っています。


以前勤めていた職場に、とてもフレンドリーな方がいました。
皆さんから好かれて、一目置かれている女の人です。
私にもざっくばらんに話しかけてくださって、休憩時間など、楽しい会話がはずみました。

ところがですね。。。

電話応対になると、人が変わったように冷たくなってしまうんです。
紋切り型で抑揚もなく、どこか上から目線。
何となく早く切り上げ電話を置きたがっているような、急いている感じもあります。

ご本人は決してそんな人物じゃありません。
優しくて、平等で、たいへん面倒見のいい人です。

定期的な社内面談のとき、そのことに触れてみました。
すると

「自分でもそう思う」とのお返事です。

何故なのか原因は分かりますか?

と伺ったら

「電話はとても緊張するんです。間違った情報を言わないようにしなきゃ、と思うと、冷静になろうと思うあまり、自分で思っている以上よぶんにクールな話し方になってしまうのだと思います」

つまり、とても真面目な方なんですね。
真面目で、なおかつ優しくお相手思いなのに、「声」にそれが乗らない。
も〜〜〜!!これは、実にもったいないことです。
こういう方、案外多くいらっしゃるように見受けられます。

「緊張する」

克服するのは、とてもたいへんです。
「苦手意識」だって、おいそれと払拭できません。

でも、今すぐ簡単に声を「やさしく」変える方法があります。

笑うのです!!

まず笑顔をつくらず、喋ってみてください。
なんでもいいです。
例えば

「今日はいいお天気ですね」

はい、では、こんどは目元まで意識して笑った顔で

「今日はいいお天気ですね」

と言ってみましょう。
いかがですか?
声のトーンが上がりませんか?

・・と言うより、むしろ、笑顔では低いトーンや沈んだ声で話せないことにお気づきになるかと思います。

これで

「ちょっとよそ行きの声」

の出来上がりです。


電話で感じのいい方は、電話の向こうできっと微笑んでいらっしゃるはずです。

「笑う」のはただ(無料)です!!

ただで相手を気分よくできるんですよ。

いいでしょ?どうせなら笑いましょう。

感じのいい声は、誰かを一日中気持ちよく過ごさせることでしょう。


件の方にも「笑って」話している他の同僚の方の例をお見せして、笑って話してみるようお勧めしたところ、すぐに実践され、その後

「以前より電話で話すのが好きになった気がする」

とおっしゃっていました。

私が社内でふと見かけると、その方はいつも笑顔で電話応対しておられ、声が弾み、電話のお相手ともコミュニケーションを取る時間が増しているようお見受けできました。




「朗読」

がどうも一本調子になってしまうとお悩みの方も、まずは、

顔に表情をつけて読んでみるといいんです!

「笑顔」「怒り顏」「泣き顔」「困り顔」

顔が変われば心が伴い「ことば」が意味を為して、声に乗るはずです。

試してみてくださいね!

















趣味ぶろ 朗読教室ブログランキング





2015年11月12日木曜日

今後のボランティア活動予定

☆日時  11月18日(水)14:00〜
☆場所  介護付き老人ホーム 『くらら西馬込』


《ボランティア内容》

◎首回しなどの軽いストレッチと複式呼吸(みなさんで)

◎ピアノで音階を意識しながら発声練習「あ・え・い・お・う」(みなさんで)

◎秋の童謡 朗読と歌唱(みなさんで 様子を見ながら数作品)

◎歓談  


(トータル60分程度)


※ 入居者さまのみ参加可



ーーーーーーーーーーーーーーーーー
☆日時  11月28日(土)

☆場所  フラマリオン3階 スペースsalaam   「おやこ文化祭」



《ボランティア内容》

ワケイシヲリ「音とことばのじかん」


Part1. 朗読ショー 〜映像と音楽に声をのせて〜 

◎「ずーっとずっとだいすきだよ」ハンス・ウィルヘルム
◎「12の贈り物」シャーリーン・コンスタンゾ


Part2. みんなで唄ってみましょう 〜なつかしの音楽授業〜

 ♪♪ 二部合唱「花は咲く」(NHK復興支援ソング)♪♪ 




※ 年齢・定員制限なし 無料 事前申し込み不要




ーーーーーーーーーーーーーーーーー
☆日時  12月12日(土)

☆場所  フラマリオン3階 スペースsalaam  「ママカフェ」



《ボランティア内容》

チェロとピアノ演奏つき
朗読 「てぶくろをかいに」新美南吉


チェロ
和泉景子

朗読・ピアノ
ワケイシヲリ



※ 年齢・定員制限なし 無料 事前申し込み不要





趣味ぶろ 朗読教室ブログランキング








2015年11月8日日曜日

レッスンポリシー

マンツーマン体験レッスンを希望される方はこちらもお読みください。
http://wakei-shiori.blogspot.jp/2015/03/blog-post_6.html



教室には、それぞれ色々な目的でレッスンを受ける方がいらっしゃいます。

◎よみきかせボランティアをしたい
◎コミュニケーションツールとして表現力を身につけたい
◎お仕事でプレゼン能力を高めたい
◎好感度を上げる発声をしたい
◎他の習い事(歌唱や楽器)の表現の幅を広げたい
◎子供の頃ならっていたピアノをもう一度弾きたい
◎ボケ防止に役立ちそう

他にも、声を使うお仕事のプロを目指している方や、資格取得のための対策に学ばれている方もいらっしゃいます。
※注 個別の資格試験対策に特化したレッスンは行っておりません


いつもの話し方、それだけでいいですか?

誰しも、話し方には必ず「癖」がありますよね。
癖。
十人十色で、素晴らしいことです。
癖を否定することなんてありません。
持ち味です。
活かしてしまいましょう。

自分を知ったら、もっと魅力的に!

朗読に活かすには、まずその「癖」を知ることから始めます。
何となく無意識に出てしまう癖でなく、癖がかくし味になるよう、コントロールできれば、自分のテイストに合った作品を自在に自分のものにしながら、より楽しく読めるはずです。
そのためには、今ある癖を押し殺すのではなく、「別の癖」も身につければいいのです。


色んな声を出してみましょう!

普段はどんな人でも、緊張感のないお相手と話すときは、無意識にある一定の声質で発声しているはずです。
近くにいる人にだけ通じるような、省エネ声、ボソボソ声で話すことの方が多いですよね。
その声で、朗読されても、聴いている方はあまりワクワクしません。
職場で電話を受けてるときみたいなちょっとよそ行きの声、スマイル感のある声を、普段からもっともっと出す練習をしてみましょう。
当教室では、ピアノ伴奏で、音階に合わせた発声練習をして頂くことで、それぞれの方の中に隠れた、普段あまり使わない高低の声を、スタンダードに出せるように身体におぼえさせていきます。


よみきかせの中でも、全力な声だけでなく、脱力声、ひそひそ声、ささやき声も出せたら素敵です


たいていの方は、愛するご家族や親しいお友達と生き生きと弾む会話されているはずですのに「読む」となると、たちまち一本調子の「棒読み」になってしまいます。
「読んでいる」感がひしひしと伝わってきますね(笑)
間違えないように、噛まないように、不真面目だと思われないように(?)
これは、学校教育時代の名残なのでしょうか。
どういう訳か「読む」というモードに会話のような「躍動感」を添えられないんですね。
かく言う私もかつてはそうだったと思います。
そう言えば、学校教育で、奇想天外な読み方をするよう指導された覚えは、一度もありませんものね。

さあ、もう「上手に」読むことは忘れましょう!
これからは「ワクワク」を目指しますよ。
気の合う人とおしゃべりしているみたいな、目の前の大好きな人に語りかけるような、そんなイメージで、朗読してみましょう。
そうすれば、意識せずとも色々なバリエーションの発声が自ずと叶うはずです。

まずは、本来誰しも持っているはずの当たり前の「表現力」を引き出し、それがうまくいったら、今度はワンランク上のテクニックを目指しましょう。





かふぇ・えすぷれっしぼのレッスンは、すべてオーダーメイドです。
お一人お一人のご希望や習熟度に合わせた指導を行っています。

体験レッスン(60分無料)は、随時承っております。
注:無料体験レッスンは2015年を以って終了しました。








趣味ぶろ 朗読教室ブログランキング











親睦会企画のお知らせ

皆さま
お変わりありませんか。
秋もいよいよ深まり、早いもので今年も残すところ、あと2ヶ月を切りました。

教室に来てくださる方たちから

「忘年会やってください!!」

というお声をいくつか頂きました。
お引き立てくださり、本当にありがたいことです!

ご要望にお応えして、今年最後の親睦会を以下のように企画しました。

▽朗読グループレッスン120分 + 親睦会

◎参加費用=3,500円(食事・飲み物・デザート付き)

◎場所=自宅朗読教室

日程は、以下の2候補日からご希望の多い方に設定します。
※希望者多数の場合、二日間とも行います。

☆12月5日(土)
☆12月19日(土)

◎いずれも、14時スタート


日頃、マンツーマン朗読レッスンしかされていない方、他の方の読み方も聞いてみたい方、
この機会に、是非新しい体験をしてくださいね。

お問い合わせはお気軽にどうぞ。

参加希望は、メールでも口頭でも構いませんので、希望日を添えてご連絡ください。
直前でも大丈夫です!

roudoku-espressivo311@ezweb.ne.jp


不参加の場合、ご連絡は不要です。

尚、キャンセル料は発生しません。


では、皆さまのお申し込みをお待ちしています。   





趣味ぶろ 朗読教室ブログランキング





2015年11月4日水曜日

ワタシのこと その5

ワタシのこと その1 

ワタシのこと その2

ワタシのこと その3

ワタシのこと その4

ここからの続きです


さらにさらに、さらに続編〜



つづき
◎朗読をはじめたきっかけ


朗読を勉強するってどういうことなんだろう。
プロみたいにうまい人ばっかりが習いに来てるのかな。
いろいろ不安もよぎる中、さっそくインターネットで調べてみました。
15年も前は、今ほど情報もなかったですね。
それに、朗読レッッスン自体、少なかったのだとも思います。
選んだり吟味するほど講座もありませんでしたが、たまたま、自宅から電車で一時間ほどの場所で、朗読講座の新規生徒を募集している、という記事にヒットしました。

行きたい。

さて、でも、問題はこの体です。

顔を洗って化粧水をほどこすだけで、ハーハー。。。
入浴すれば、疲れ果てて一日ほかには何もできない、というほどガタ落ちの体力。

朗読レッスンに通うには、駅まで5分歩いて電車に乗り、新宿駅のひとごみをかき分け乗り換えて、そこからさらにまた徒歩10分。

考えただけで目が回りました。
気持ち悪くもなりました。

講座は曜日と午前か午後かを選べて、月二回。

月二回か。。。。行けるかな。無理かな。

無理かな。。。。行けるかな。。。。



ポチ。


それでも、やっぱり申し込みメールをしました。


それから講座に通いはじめた訳ですが、案の定、仕度の途中で発熱してしまったり、電車のなかで気分が悪くなり途中下車したり、ひどい時にはあきらめて引き返したり、と、つぎはぎだらけの朗読勉強がよいでした。


それでも、


朗読を「知る」


ということは、予想以上に楽しかったです。


グループで学びましたので、他の方が読むものがどれも素晴らしく、どれも興味深いことにも感激しました。

自分の身体から出る「声」だけで、あれこれ工夫してクォリティーを上げていく作業。

身体を楽器にする。

簡単なようで難しい。

でも、うつくしい時間。

自分の発声に耳を傾けること。

それは、客観性を養うことだから。

静寂に溶け込むことだから。

いちばんいい状態はリラックス。

無理をしないこと。


私の病気は新しいときめきも手伝って、その頃からガラっと回復してまいりました。

朗読することが病気の回復に繋がった、と安直には申せませんが、楽器を奏でるように、音色(おんしょく)やリズムに配慮して発声することが、心身に大きな喜びを与えたことは否めないでしょう。

喜びが心身を大きく動かしたのでしょう。



私は調子の悪いとき、学びのために「家から通う」という動作が、とてつもなくプレッシャーであり、苦労でした。

調子が一定でない世代もありますよね。(50歳の私も!)



我が朗読教室へ来てくださる方に、いつもしつこいように申し上げるのは

「通おう」とは思わないでください。

ということです。

明日か明後日、大丈夫そうかな?
そんな日にフラッといらしてください、と。

2ヶ月空いても、1年空いても

「朗読をやめてしまった」

とは思わないでください、とも申し上げます。

何年あいても、声を出してみたくなったら、おいでください。

また、一緒に何か読みましょうよ。

コーネンキ、定年うつ

いろいろあるさ。


「やめた」

んじゃなく

「やすんでる」

だけですよ。


朗読は、お年を召してからでもできますね。
でも、ちょっと前に準備しとくのもいいかもしれません。

その上でお年を重ねれば重ねるほど、お体が熟(こな)れた楽器になり、味わいのある、なんとも言えない、深〜い朗読になるでしょう。

長生き社会ですものね。
万一、車椅子に乗ったって、声だけは達者な爺さん婆さん目指して、どうせならちょっとカッコよく朗読しましょうよ。




ここまでお読みくださってありがとうございます!

私と朗読との繋がりを垣間見ていただくことはできたでしょうか。


最後に、

ワタシの好きな「声の達人」を、ここに記します。



☆ 順不同

故・熊倉 一雄 さん

渡辺 徹 さん

津川 雅彦 さん

江守 徹 さん

故 ・小沢 昭一 さん

白石 加代子 さん

薬師丸 ひろ子 さん

原 節子 さん

天地 総子 さん

のこいのこ さん

前川 陽子さん

増山 江威子 さん

堀江 美都子 さん

故・岸田 今日子 さん

加賀美 幸子 さん


なんとなく共通項があるな、と思います。

「脱力した迫力」
「軽妙な力強さ」


とでもいうのでしょうか。



ただただ、脱帽です。



これも増山江威子さんの唄声です。
ルパンの峰不二子ちゃんの声の方ですよ〜♫












趣味ぶろ 朗読教室ブログランキング








2015年11月1日日曜日

ワタシのこと その4

ワタシのこと その1 

ワタシのこと その2

ワタシのこと その3

ここからの続きです


さらにさらに続編〜



つづき
◎朗読をはじめたきっかけ


少しずつ体調に陰りのような変化があった2000年の暮れ、世田谷区でとてつもなく惨い殺人事件が起きました。
未だに犯人が見つかっていません。

事件の被害に遭われた方々と、ご縁があるわけではなかったのですが、世田谷の地には昔、自分自身や身内が住んでいたことがあり、私にとって、甘く淡い思い出があり、またとても身近に感じられる街でした。
端正な家並みで、静かに暮らしていた方たちが一体どうしてこんな目に?

どうして!?どうして!?

深い憤りが身体いっぱいに充満しました。

そして、ほとんど臥せるようになっていた2001年6月、大阪府の小学校ででたくさんの児童が無差別に殺傷されました。

9月、アメリカ同時多発テロが起きました。

これらの衝撃は私が言うまでもありません。

次いで10月、20代から30代にかけて追っかけ回して聴いていた、噺家の古今亭志ん朝さんが逝去しました。

いつもいい席を陣取って、志ん朝さんの華やかな高座を眩ゆく観ていました。
けれども私は、お爺さんになった志ん朝さんの、老熟した芸を観るのが楽しみだったのです。
10年先、15年先、志ん朝落語を聴きに、足繁く寄席やホールに通う白髪頭の自分のことだって、楽しみにしていたくらいです。

弱り切った私に、追い討ちをかけるように訪れた、真骨頂の話芸とのお別れの時。
今以って、尽きることない喪失感の只中にありますが、当時は尚のこと、心身の不調から立直るきっかけを切実に失い、神経は破壊寸前でした。

厭世観は募るものの、家族を、そして人生をまだ愛していたい。
死生観を先人の著した書に探し求めたくも、前述のとおり、脳髄がクリアでないので、難解なものは読み進められない。

八方塞がりの私の一日を、やりすごせさせてくれたもの。
それは、平易な話しことばで書かれた書物と、志ん生(志ん朝さんのお父っつぁん)のカセットテープの山でした。

実は、志ん生は私の「死生観問題」(笑)にたびたび登場します。
その話は → こちら


志ん生は70歳過ぎたころ、脳出血で倒れ、しかしのちに半身不随を圧して高座へ復帰します。
病の後遺症で、滑舌は少々怪しいんですが、それが当人も意図しない

「味」

になりました。






↑布団のなかで、この録音を良く聴きました。
馬鹿馬鹿しい噺なんですが、志ん生が時折、言い淀みながらもみんなを笑わそうとしている、その、親が子をあやすような柔和な魂が感じられ、涙が出ました。


涙が心を洗い、文字通り「癒」されているのを実感しました。

私を看病して何とか布団から出そうとしてくれていたものは、人生を解く書物でも箴言でも宗教でもなく、


「語りかけてくれる」

「ありふれた どこにでもある すてきなことば」


だったのです。


わたしはつらい。
みんなつらい。
それを慰める答えもない。

けれども、すてきなことばをかけられたら、悲しいことを、ほんのひととき忘れさせてもらえる。


誰かに語りかけること。
ことばをかけて、にっこりさせること。
年をとっても、倒れても、呂律が回らなくったって、志ん生さんもやってる。

わたしにもできる。

にっこりさせる優しいことばを、わたしは持ってないけど、誰かが書き残したすてきなことばを、わたしが読んであげよう。
自分で読めないだれかに。

誰かに話しかけてほしいと思ってる、誰かさんに。

老いたとき、わたしは、そんな人間になっていたい。
そう、志ん朝のおとっつぁんの志ん生さんみたいに!
枕を濡らしながらも、はっきりと生きる目的が持てました。


ほどなく、朗読の勉強をするための場所を探し始めました。


次回につづく〜!!

と、思います〜








趣味ぶろ 朗読教室ブログランキング