2014年8月15日金曜日

ゆっくり話すは七難隠す

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http://wakei-shiori.blogspot.jp/2015/03/blog-post_6.html




数年前までいた勤め先で、定期的に受けていたコーチング研修プログラムの中に、電話応対のモニタリングチェックという項目がありました。
実際にクライアントとスタッフが電話で会話しているさまざまなシチューエーションの録音を聞き、スタッフの応対に問題が見つかった場合、どのように指導するかを習得するためのものです。

シチュエーションのひとつに、クライアントの質問に対しスタッフが応えるが、何度も聞き返される、という場面の録音がありました。
クライアントは、聞き取れないので次第に苛ついているのです。

コーチング指導の講師は、私たち研修者に、
「このスタッフに対し『もっと大きな声で話すように』とは言わずに応対品質を上げるアドバイスを考えてください」
と問いをかけました。

正直に言って、この録音を聴いたとたん、声が小さいなあ、とすぐ思いました……と言うより、むしろ、それ以外考えられなかったくらいです。

しかし、講師は
「声が小さいとか大きいとかいうスタッフさんの生理的身体的な特徴については、絶対に指摘するべきではありません、それはハラスメントと受け止められてもやむを得ません」
と教えてくれました。

そのように言われ眼からウロコでしたが、考えてみれば本当にそうですね。
地声の大小などは、悪意や怠惰が由来しているものでありません。
そんなことを注意されても、その人はただ困惑するだけでしょう。


私は二十代の頃、会社の先輩から
「電話での話し方が、早口過ぎる」と注意されました。
そこで、ゆっくり、ゆっくり、と、いつも心がけて
「こんなにゆっくり過ぎると、相手は気持ち悪く思わないだろうか」
と、思うくらいに話していたのですが、話している最中に、先輩がクスクス笑いながら私のデスクの上にメモを置きました。見ると、

「ゆっくりネ♪」
と、書いてあるのです。

えーー?
こんなにゆっくりのつもりでもまだ〜〜?
と、思いました。
先輩からのアドバイスもあり、自分の電話応対を録音し聞いてみたところ、確かに最初は少し抑えが効いているのですが、途中から、どんどん捲し立ててしまうのが分かりました。

先輩からは、
「こんなにのろまに喋って良いのだろうか、と自分で思うテンポから更に二割増しくらいのゆるやかさで喋ってごらん」
と言われ続けましたが、それからある程度自分でも納得できるようなスピードで話せるようになるまでには、一年近い年月がかかりました。
それほど、無意識に染み付いたものというのは、拭い去れないものなのでしょう。

私が『より良く聞いてもらえるように話す』ことに目覚めたのは、このような苦い思いがあってのことでした。

『色の白いは七難隠す』みたいなもので、実に

『ゆっくり話すは七難隠し』ます。

冒頭に記したような地声が控えめな方であっても、聞く側の呼吸を意識し、区切りや間合いを挟むことによって、聞き取りづらさが解消されます。

朗読においても、論文や新聞朗読など一部の例外はありますが、とにかくまず、ゆったり読むというのは、たいへん望ましいことです。
スラスラ読めていれば、相手は聴き入ってくれている、というものではない訳です。

ご自身の話す声を客観的に捉える、ということは、日常的に誰もがしていることではないですね。
朗読の練習をしている方は、スマホのボイスメモ機能などに録って、まずご自身の話すクセを良く知るところから始めると良いと思います。

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